1ヶ月変形労働時間制の「時間外労働の数え方」を超簡単に解説

社労士(全般)
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「変形労働時間制」という言葉、聞いたことありますか? これは週、月、または年単位で、繁忙期等には所定労働時間を増やし、 閑散期には減らすことができる制度です。 飲食店や工務店、清掃業など、シフト勤務をされるような業種に向いています。 この記事では変形労働時間制のなかでも「1ヶ月単位の変形労働時間制」について書いていきます。 特に「時間外手当を払わなければならない時間」の数え方を簡単にわかりやすく解説します!

変形労働時間制の鬼門は時間外労働時間の数え方!

まず、「変形労働時間制」と一口に言っても、実は4種類あります。
❶ 1カ月単位の変形労働時間制 ❷ 1年単位の変形労働時間制 ❸ 1週間単位の非定型的変形労働時間制 ❹ フレックスタイム制
世間でよく導入されているのは❶「1カ月単位」と ❷「1年単位」の変形労働時間制です。 しかし、変形労働時間制を導入したいと思ってもなかなか進められないという声をよく聞きます。  「導入方法がわからない」  「手続きは?」  「従業員への説明は?」  「時間外手当の計算方法は?」 わかります。私も最初は全く同じように思っていましたから。泣 導入方法などは手続きの話しなのでネットなどで調べれば理解できると思いますが、 時間外手当の対象となる時間の数え方は調べても調べても難しい、が本音ですよね。 なので、今日は1ヶ月変形労働時間制を導入した場合の 時間外労働時間の数え方をわかりやすく解説します。 はっきり言って、超簡単なんですよ!
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その前に、1ヶ月変形労働時間制の導入を検討されている方のために、 制度のメリット・デメリットを書いていきます。

1ヶ月変形労働時間制のメリット・デメリット

会社側から見たメリット・デメリット

メリットは、残業代を抑制できること。 デメリットは、勤怠管理や給与計算が複雑になることです。 通常は、仕事がない時間でも従業員を定時まで会社に拘束することで 賃金の支払いが必要となりますが、 変形労働時間制では、忙しい日と暇な日を考慮し、 前もって拘束(所定)時間を変えられます。 ただし通常の時間外労働の計算とは異なるため、管理に手間がかかると言えます。

従業員側から見たメリット・デメリット

メリットは、 暇な日は早く帰れるため、プライベートを充実できることです。 デメリットは、 結果的に残業代が減ることが多いことと、 毎日の始業・終業時間が違うためスケジュールを把握しづらくなることでしょうか。 タイムイズマネー思考の私個人としては、業務がないのに無駄に会社に拘束することは、 会社にとっても従業員にとっても損でしかないと思います。 従業員側のデメリットである残業代の減少は、 その時間を学習や遊びに使って将来の自分に投資すればいいし、 現代は副業も広く認められてきていますので副業で賄うのもいいでしょう。 会社側のデメリットである勤怠・給与計算の複雑化は、 まさに社労士などの専門家に委託することで解決できます。 委託料は費用面・安全面・確実性から言っても十分元を取るのではないでしょうか。 費用を一切かけたくない方は、まずはこの記事で鬼門である時間外手当の 対象となる時間数の数え方をマスターしてください。

「時間外労働」の数え方を超簡単に解説

ポイントは4つです。超大事です。
✔ 従業員ごとのシフト表が超大事 ✔ 3つの単位で分けて数える ✔ 順番は「日」→「週」→「月」で。 ✔ ダブルカウントはしない
このポイントを整理しながら解説します。

ポイント1 従業員ごとのシフト表が超大事

まず1ヶ月変形労働時間制をとる場合は、会社が事前に決めなければならないことがあります。 それが次の(1)~(4)ですが、 今から説明する時間外労働時間の数え方でとても大事なのは(3)になりますので、 それ以外はここではスルーしてください。(気になる方は問合せフォームより) (1)1ヶ月変形労働時間制で働いてもらう期間(1カ月以内の期間。ちょうど1ヶ月でなくてもOK) (2)変形期間を平均し、1週間当たりの労働時間が1週間の法定労働時間を超えない定め (3)変形期間における各日および各週の具体的な労働時間(=シフト表) (4)労使協定によって導入する場合には、その有効期間 つまり、事前に従業員ごとにシフト表を作っておかなければならないんですね。 え、シフト表を作っておくなんて当たり前だって? ですよね。 でもなぜこれがポイントかと言うと、 時間外労働の時間はシフト表を基準にして決まるからなんです。
時間外労働の時間はシフト表を基準にして決まる

ポイント2「3つの単位」で分けて数える

1カ月単位の変形労働時間制で時間外労働となる時間は、次の3つの単位によって決まります。
❶【1日単位】 (1)8時間を超えるシフトの日 → そのシフトの時間を超えて労働したら、その時間が時間外労働となる (2)8時間以下のシフトの日 → 8時間を超えて労働したら、その時間が時間外労働となる
❷【1週間単位】 (1)週40時間(※)を超えるシフトの週 → そのシフトの時間を超えて労働したら、その時間が時間外労働となる (2)週40時間(※)以下のシフトの週 → 週40時間を超えて労働したら、その時間が時間外労働となる (※一部の業種は44時間)
❸【1ヶ月(≒変形期間)単位】 「変形期間における法定の総枠の時間」を超えて労働したら、その時間が時間外労働となる
ね、事前に決めたシフト表が基準になってますよね。 ちなみの「変形期間における法定の総枠の時間」について 詳しい説明は割愛しますが、次のとおりの時間と決まっています。

ポイント3 順番は「日」→「週」→「月」で

前項で時間外労働の時間となる単位が3つあることを書きましたが、 実は、時間を数えるときの順番も、必ず❶❷❸を守ることが大事です。 つまり、時間外手当の対象となる時間を確認するときには次の順番でチェックします。
【日単位】で、❶に該当する時間が何時間かカウントする
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【週単位】で、❷に該当する時間が何時間かカウントする
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【1ヶ月(≒変形期間)単位】で、❸に該当する時間が何時間かカウントする

具体例1

ある週のシフト表(=所定労働時間)について、 月・火・木・金の各日を9時間(週36時間)とした場合、 月・火・木・金で1日9時間を超えて残業したら、 上記【日単位】(1)に当てはまるため、その残業時間そのものが時間外労働となります。

具体例2

例1の事例で、月・火・木・金では残業はさせず、土曜に6時間の労働をさせた場合は、 【日単位】(1)(2)のどちらにも当てはまらないため、日単位としては時間外労働にはなりません。 ただし【週単位】でみると、当初のシフト表での週単位での時間36時間にこの6時間が追加され、 計42時間となります。 すると上記【週単位】(2)に当てはまるため、 40時間を超えた部分である「2時間」が時間外労働となります。

ポイント4 ダブルカウントはしない

「❶日」→「❷週」→「❸月」で時間外労働となる時間をカウントしていったときに、 一度カウントした部分の時間はもうカウントしません。

具体例4

例1の事例で、月曜日に3時間残業をさせ、さらに土曜に6時間の労働をさせた場合、 まず【日単位】でみると月曜日の3時間が時間外労働です。(【日単位】(1)に該当) 次に【週単位】でみると計45時間となるため40時間を超えた部分である5時間が時間外労働 ・・ となりそうですが、 この45時間にはすでに日単位でカウントした3時間が含まれていますので、 これを除いた残りの2時間が、週単位でみた時間外労働になります。 最後に【月単位】でみますが、 ここでは月の総枠内だったと仮定して、 月単位での時間外労働はなかったものとします。 するとこの人のこの月の時間外労働時間は、 日単位でみた3時間+週単位でみた2時間の計5時間となります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。 おさらいになりますが、
・従業員ごとのシフト表を基に時間外労働の時間が決まること ・時間外労働時間は、「日」「週」「月」の3つに分けて数えること ・時間外労働時間を数える順番は、「日」→「週」→「月」で。 ・時間外労働時間はダブルカウントはNG
これを抑えれば、外部に委託しなくても社内で時間外手当の計算が可能です。 そして1ヶ月変形労働時間制導入の最大の心配事である 時間外手当の計算が正確に出来るのであれば、もう怖いものなんてありません。 安心して導入してください! 導入の手続きや必要な作業は調べてできる範疇のものですが、 も しそれでも不安という方は、給与計算が得意な社会保険労務士へ確認されると良いでしょう。 もちろん当所でもお受付けしていますので、問合せフォームよりどうぞ。
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